出会ったばかりの目が離せない 心も離れない
自分の肉体構造まで変わってしまいそうな
新鮮で
毎日を追いかけるような
気付けば思考は常に彼に舞い戻ってしまう、
そういう時期が
過ぎようとしている。
私は彼を知り
彼といる自分を知り
彼も自己主張を始め
私も、自分について考えるようになり始め、
私たちは共に歩くけれども
いままでのようには常軌を逸しない歩き方。
そんなふうに、なろうとしているのを感じる。
モトキがもう、「赤ちゃん」ではなくなったんだ。
マイベイビーには変わりないけどね。
最近トトロをはじめて見せた。そうしたら、
「歩くのお歌、して!」と言ってくるようになった。
今日食事中にcharaのCDをかけた。そうしたら、
「おねえちゃんのお歌」と言った。
もう声で性別も区別できるの? と思った。
公園を通り過ぎれば、
「おねえちゃんボールしてるね」と言う。
冷蔵庫にヨーグルトが見えたら、
「元ちゃんグーグルト食べるの」と言う。
「ママ起きて」と起こしてくるし、
「パンパン焼いて(ホットケーキのこと)」と言ってくる。
今日はどんぐりを拾って、小さなビニール袋に入れて、
それをしっかり持って、5歩あるくごとに袋を開け、
しゃがんで覗いて、
「どんぐりっ!」と言っていた。
私が物思いにふけっていると、その内容を当てるからびっくりする。
これは1歳になってからもあったけど、今日は、
この間抱いた赤ちゃんから連想して、
知り合いが40歳くらいで赤ちゃんを産んだときのことを想像していたら、
私の顔を見て、「赤ちゃん!」と言った。
今日、公園で、小学生の女の子にリードで繋がれながらも
滑り台をすべる黒いプードルを見た。
帰り際、モトキが野良猫を見て「ひっぱる!」と言った。
公園、わんわん、ひっぱる を見たから、
にゃんにゃん、ひっぱる につながったらしい。
道路や街が描かれている地図の駐車場で
モトキはトミカを、上手に縦列駐車させる。
「ピーピーピー」とバックの警告音つきで
今日、夕食中ハイチェアでニコニコしているモトキを眺めながら、
「この人は、私じゃないんだよなぁ…」
としみじみ思った。そんなの産んで初めて顔を見た時から分かっていたけど
私は、小さい頃の自分に接するように育ててきたから
たびたびその確認をしてしまう。
私の知らない遺伝子も持っている、私の遺伝子を持つ人。
それに、私とはちがう、男の子。
パパがお風呂に入る素振りを見せたら、
今日はさっそくオムツまで自分で脱いでいた。
「おふろ!」
そしてモトキの歯ブラシを熱湯消毒している時に気付いた。
もう熱湯消毒しなくても平気そうだ、
だって、新生児のように弱くはないんだもの、もう。
私も、そろそろ考え方を変えないとな、
モトキはもう、赤ちゃんじゃない。
何にもできない、弱っちいあの存在とは違ってきている。
二歳四ヶ月
おっぱいはいつまで飲むんだろうな。
でも、おっぱいを飲む、変わらずいたいけな姿を見ると
なんとなく安心してしまう私もいる。